世間の話題はコロナウイルスで
持ちきりです。
世界各地で除菌、殺菌、消毒が
徹底されています。
消毒といえば水道水やプールで
用いられる塩素をイメージする人も
多いのではないでしょうか?
実際病院や感染地域などの噴霧に
塩素が使用されているようです。
スーパーやドラッグストアでは
アルコール系、次亜塩素酸系などの
「除菌」と名が付くものは軒並み
売り切れ状態です。
アルコールが手に入らない事により
次亜塩素酸水が注目を集めています。
次亜塩素酸水とは?
これは水と塩を電気分解する事で
生成可能な除菌・消臭力のある
弱酸性の水溶液です。
よく似た名前の次亜塩素酸ナトリウムと
いうのもありますが、これは別物です。
ハイターなんかに含まれるヤツです。
次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンの
80倍殺菌力があると言われます。
また次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンより
はるかに反応速度が速く、
すぐに反応して素早く分解します。
逆に次亜塩素酸イオンは反応速度が遅く、
ゆっくりとした反応です。
次亜塩素酸水の弱点は生成後の
使用期限が短い事です。
さらに光に当てても塩素が抜けていく為、
遮光性容器に入れて使う必要があります。
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム | |
主成分 | 次亜塩素酸 | 次亜塩素酸イオン |
性質 | 酸性 | アルカリ性 |
反応 | 速い | 遅い |
ニオイ | 無臭 | 刺激臭 |
除菌 | ◎ | ○(高濃度) |
消臭 | ◎ | △(塩素臭あり) |
安定性 | × | ◎(水溶液) |
次亜塩素酸ナトリウムとの違いを
正しく認識しましょう。
誤ると危険極まりないです。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは
別物ですが、その保存性の悪さから
次亜塩素酸ナトリウム水溶液をPH調整
して弱酸性にしたものを次亜塩素酸水と
して販売している業者は多いです。
具体的には次亜塩素酸ナトリウムと
希塩酸(濃度の薄い塩酸)を水で
薄めた混合液になります。
食塩水を電気分解し生成した次亜塩素酸水
は失活が早くて保存が効かないので、
パッキング販売に適しません。
ハイターやブリーチ、ドメストが危険
なのはアルカリ性が強いからですが、
もとが塩素系漂白剤である事を忘れては
ならないと思います。
「混ぜるな、危険!」と言われる
類のものです。
ハイターなどは酸性のものと混ぜると
大量に塩素ガスを発生してしまいます。
また人体に使用する場合、
厚生労働省が食品添加物として定めた
基準に適合するもの以外使えません。
安全基準は
・有効塩素濃度80ppm未満
・使用する材料は水と食塩のみ
・電気分解方式のみ
電気分解方式の次亜塩素酸水であれば、
除菌、消毒、消臭で様々なものにかけて
そのまま放置可能です。
歯医者ではPOICウォーターと呼ばれ
洗口液として利用されています。
次亜塩素酸水は非常に素早い殺菌効果を
持っており、様々な細菌に対しての
有効性が認められています。
塩素の危険性について
とここまでは次亜塩素酸水の有効性を
書きましたが、これが塩素がもとで
ある事を忘れてはなりません。
塩素は殺菌力が強いので、水道をはじめ
として様々な用途に用いられています。
しかし強すぎるが故に危険でもあります。
水道水に含まれる塩素ですら肌の弱い人
には刺激が強すぎて大変脅威です。
次亜塩素酸水を加湿器に入れての
空間除菌は危険ではないのか?
と疑問視しています。
水道水に含まれる塩素がアトピーを
悪化させるのは有名な話です。
保育園施設で加湿器に次亜塩素酸水を
入れて噴霧した結果、アトピーが
悪化したとの話があります。
確かに加湿器内の除菌や空間除菌は
できるかも知れません。
が、
空気中に塩素が大量に漂っている状態
であり空気に触れる肌は勿論のこと、
空気として体内に取り込まれてしまう
危険があります。
結果皮膚や体内の常在菌、善玉菌なども
除菌してしまうのではないか?と
考えられます。
水質を保って家庭に届けるために
水道水には塩素が使用されています。
これは必要なことでしょう
が、
直接飲んだり触れたりするには
残留塩素という問題があります。
日本では塩素濃度が法律で0.1ppm以上と
なぜか下限しか定められていません。
世界的に見てもアメリカ、フランスが
0.1ppm以下、ドイツ0.05ppm以下と
上限が定められているのに対して
塩素濃度が非常に高い傾向にあります。
この残留塩素濃度ですが、
日本全国では一番低い地域では0.3ppm、
一番高い地域では1.5ppmでした。
地域 | 水質検査期間 | 残留塩素濃度 |
北海道 | H16 | 0.67ppm |
東北 | H15~18 | 0.48~0.59ppm |
関東 | H16~18 | 0.35~1.5ppm |
信越・北陸 | H17~18 | 0.3~1.5ppm |
東海 | H17~18 | 0.4~0.75ppm |
近畿 | H16~17 | 0.7~1ppm |
中国 | H16~18 | 0.5~0.7ppm |
四国 | H16~18 | 0.5~0.7ppm |
九州・沖縄 | H16~17 | 0.3~1.16ppm |
日本に塩素が導入された事により、
伝染病や食中毒、感染症が減少した一方で
アトピー性皮膚炎疾患が増加した事も
見逃せない問題です。
菌との共生
世の中は菌で溢れています。
たった一握りの土の中にどれほど
微生物がいると思いますか?
信じられないかもしれませんが、
その数は数十億以上です。
微生物は地球上で最も数が多く、
最も広く最も長く繁栄しています。
99%の生物が絶滅している中、
微生物は36億年以上生き
残っています。
また遠い未来、20億年後にも
生き残っているのは
微生物のみとも言われています。
人の体にも常在菌として
多くの細菌が生息しています。
口や鼻、皮膚の上にもいます。
皮膚の表面には約1兆個の常在菌
が棲んでいます。
腸内にも500兆〜1000兆個の菌が
いて免疫力を高めてくれています。
大別すると「善玉菌」「悪玉菌」
「日和見菌」に分けられます。
日和見菌というのは多数勢力に
味方するドラえもんでいうところの
「スネ夫」的ポジションの
ヤツですが、7割が日和見菌
なのでバカにできません。
善玉菌が優勢なら体を健康に
保ってくれますが、
悪玉菌が優勢になると
体のあちこちに不調やトラブルを
引き起こします。
どれほど細菌が身近な存在か
想像できたでしょうか?
塩素が怖いのは、これら体を健康に
保つ働きをしてくれている常在菌をも
殺してしまう事です。
何でもかんでも除菌、消毒すれば
良いという訳ではありません。
体に害がないどころか、人に有益な菌
も多くいるという事を知るべきです。
加湿器などでの空間除菌は
明らかにやりすぎであり、
体へのダメージが懸念されます。
我々がすべきなのは菌との共生です。
味噌、醤油、納豆、糠漬け、こうじ、
キムチ、お酢などなど・・
これら身近な食べ物である発酵食品を
摂取して免疫力を高めましょう。